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老舗の和菓子で抵抗勢力の母を説得し、常連顧客をえこひいきする作戦はいかに!

 
「街の個人時計店がボンボン時計修理で伝統を繋ぎ、子供達の夢を作る」の記事のサムネイル
 駅近の老舗和菓子屋は、顧客の高齢化によって徐々に売上が減っていく状況にも関わらず、社長の母親は現状維持を望み、改革は進みませんでした。 突破口は近隣の大手企業に注目し、夜の和菓子教室を開催したことです。 それをきっかけにロイヤルカスタマーを定義して新商品開発に参加してもらうことでファン化に成功し、職場に広がった口コミでついには隔週での昼休み時間出店に漕ぎ着けました。

息子夫婦が後を継ぎ変革を考えるも、母親は「面倒くさい」

 御菓子処かえで(仮称)は創業55年の老舗の仲間入りも近い駅前の和菓子屋です。 創業者の父が亡くなった後は母が継ぎ、今はその息子が店長を務めますが、店の方針に関して母親の意見が強い影響を及ぼしています。 母親はもともと流行モノに興味がなく、商品に要素を取り入れようとしません。 社長は何度か新商品開発の交渉をするも、「面倒くさい、今のままが楽だから」と聞き入れてくれませんでした。 店頭の品揃えは十年以上変わっていませんでした。   

常連客の高齢化が進み来店頻度、単価ともに減少の「ゆでガエル状態」が続く

 それでも常連客は変わらぬ味を愛して通い続けてくれましたが、お客様の高齢化と共に来店頻度が減り、購入単価も落ちていきました。 一方新商品という話題性が無いため新規顧客の獲得は難しく売上は減少の一途を辿りますが、そのスピードは緩やかであった事が災いして母親には強い危機感として伝わらなかったのです。

北海道産の小豆にこだわるものの、差別化は難しい

商品には自信がありました。餡の材料は北海道産の小豆にこだわり、店頭では「海外物とは小豆を茹でる時の匂いからして違うよ」と話すことでお買いになるお客様もいました。 確かにスーパーやコンビニに並ぶ量産品との違いは出るのですが、他の和菓子店も北海道産の小豆使用は珍しくなく、新規客を呼び込めるほどの訴求力はありません。 社長は工場の大量生産品に比べ、極力添加物を使わずに昔ながらの製法にこだわった自店の商品に誇りを持っていました。   

若い客層は洋菓子に流れていたが、近年の健康ブームにチャンスあり

 昨今若い購買者層は柔らかい洋菓子に流れ、和菓子を口にする習慣が薄れています。 その理由としてこんな話があります。
その昔、学校の記念行事でもらえた紅白まんじゅうはとても美味しいものでした。 しかし多くの市が業者を入札制にするようになって価格競争となり、パサパサの不味いまんじゅうと変わっていきます。 子供達にはまんじゅう、すなわち和菓子=まずい のイメージが出来上がってしまい、和菓子離れが進んだという説です。

しかし近年は健康ブームが盛り上がっています。 低カロリーなおやつが求められており、脂肪分、糖分が多い洋菓子は控えられる傾向が出てきました。 和菓子にとってはチャンスであるこの機を逃してはならないと考えた社長は、母親への説得は後回しにして企画広告専門家に相談を持ち掛けました。

近隣の大手企業の女性社員にターゲットを絞り和菓子教室を開催

 専門家が注目したのは店の前の通りは大手企業A社の通勤路になっているという点です。 ところが朝の通勤時間帯は開店前であり、帰宅時間となる夕方以降には商品は売り切れているので、A社で働く人とってかえでは縁の無い店舗でした。 それでも客層の若年化を図り、単価を上げるためには是非取り込みたい需要と考え、専門家は次の提案をしました。
 ・夜間に和菓子教室を開催
 ・朝の通勤時間帯に昼食用餅製品販売
 ・ホームページを新規制作
 ・購入ポイントカードの作成

ここでのポイントは夜の和菓子教室です。 和菓子との接点を持つことで親しみを持ってもらうことが主な目的ですが、もう一つは若い客層の生の声を集めることでした。 その声を母に聞かせることで、頑なに新商品開発に難色を示していた態度を軟化させる狙いです。 そして狙い通りの方向へ持っていくことができました。 これまで息子の意見に一切耳を貸さなかった母親も、教室の回数を重ねることでついに新商品開発に賛同したのです。  

朝限定の来店ポイントでロイヤルカスタマーを創出し、シークレットWEBへ誘導

 これまで開店前であったA社の通勤時間帯に合わせ、昼食用となる餅製品を数点並べることにしました。 そしてA社社員を招き入れるような手書き黒板を店頭に設置します。 この時間帯に限って購入してくれた顧客には、新たに作成したカードで購入ポイントを提供することでロイヤルカスタマーの見極めをおこないました。  さて和菓子教室で集めた声を元に社新商品開発は進み、数点の試作品が出来上がりました。 ここでロイヤルカスタマーだけにシークレットWEBページを案内し、新商品試食会の案内を出したのです。
新商品開発に参加出来たという喜びを得た常連客は益々かえでのファンとなり職場の同僚たちに自慢気に話しました。 それが口コミとなり、朝時間帯の来店者数が上がり続けました。 噂はA社の総務部にも届くことになり、通常の和菓子製品も含めて隔週でA社内で出店する話を頂くことになりました。 その縁から周年記念まんじゅうや、会議弁当としてのおこわの注文へと広がっていきました。

 近隣にお住まいの社員の方は休日にも来店するようになり、その味を覚えたお子様が将来の顧客になってくれる事を愉しみにしています。
はじめは小さな突破口ですが、将来の和菓子文化を支える大きな役割に繋がります。